February 2012
駐車場に鳩が止まっている。古い種類の鳩だ。
長らく見かけなかった鳥を観た驚きで、僕はきっと少し息を呑んだ。
黒い雨が降り止まないので、誰も彼も、頭をすっぽり覆った防護服で下を向く。
少し寒いな。
五年ぶりに雨が止んだ。雲は何処かへと行ってしまったようだ。少し寂しくもある。
どうしてか、涙が溢れた。
低く橙で驚く程大きな月が其処にはあった。皆、泣きながら、走りながら、愛する者の名を叫んだ。
僕も奔った。
風を感じる。久方ぶりの感覚。足は驚く程動く。心臓が踊る。それがわかる。はち切れそうだ。
あの月が沈む前に。僕は辿り着ける。そんな気がした。